今年2020年の冬至は12月21日。
冬至(とうじ=winter solstice)は、二十四節気という季節の考え方のひとつで、22番

目の季節とされています。
一方、天文・平気法・周正では第1の二十四節季となり、暦法上は冬至で1年間の干支が切り替わるとの事です。
北半球ではこの日が一年のうちで最も昼(日の出から日没まで)の時間が短く、東京では夏至と冬至の昼の時間の差は4時間半となっています。

二十四節気とは、春夏秋冬一年間を二十四分割したもののことです。

暦の上での冬は立冬(11月上旬)~立春(2月上旬)までの約3か月を指します。
東洋医学的に冬は寒さから身を守るために生命力を体の奥に蓄えておく季節と言われます。
身体はエネルギーの流れを内向きにして無駄な消費を抑え”気(き)”という生命エネルギーをため込もうとします。
この時期に夏と同じような生活を送っていると、ためるべき気が発散され、体熱を奪われ、心身ともに消耗してしまいます。

同時に冬は、”腎(じん)”の働きが弱くなりやすい季節です。腎は、排泄を司る腎臓の働きだけではなく、ホルモンバランスや老化、免疫にも関与します。
腎にはウィルスなどの病原体から身体を守る力も持っていて、体の奥底から温める働きもあります。
冬の時期は特に腎を養生する事が重要です。

先ずは服装です。十分に保温効果のある服装である事は重要ですが、それと同時に、腎のつぼがある足首、腰回りを中心に温め、そこから冷気が入らない服装を心掛けましょう。。

腎の養生のためには、先ずは、食事の塩分を控えめにすること。
水分を過剰に摂取しない事が重要です。

また、運動は、強度の高い運動は腎を消耗すると言われていますので要注意。ストレッチやウォーキングなどにとどめ、強化トレーニングなどは控えめにしましょう。

冬は寒さを克服するための体熱の産生などから、夏よりもエネルギーを多く使うため、他の季節よりも少し早めに眠り、十分な睡眠時間を確保しましょう。
寝具も暖かいものにして、寒さゆえの睡眠不足にならない様に心掛ける事が重要です。

食養生では、黒い食材は腎を養うとされています。
黒ゴマ・こんぶ・黒米・黒豆・やまいも・きくらげ・ナッツ等が良いとされています。
また、身体を温める属性のある食材もお勧めです。
人参・大根・根菜類(じゃがいも、さつまいもなど)、米、生姜、ニンニク、にら、ねぎ、かぼちゃなどが良いでしょう。

また、寒さの害が身体に及ぶと、血の巡りが悪くなってくる場合も有ります。
東洋医学的に言うと、血の働きが悪い”血虚(けっきょ)”や血の滞りをきたす”瘀血(おけつ)”という状態になります。
これらの状態には、少量の辛味を入れると血の巡りが良くなります。
辛みといっても、塩分をとりすぎると腎(じん)を消耗するため良くありませんので、唐辛子や和辛子を使いましょう。
しかし、大量の発汗をきたすほどに辛味の強いものは、その発汗によって身体の熱をうばい、かえって冷やしてしまう結果を生むので注意が必要です。

古来から中国では冬至養生(とうちようじょう)という言葉があります。
冬を利用して養生するという意味ですが、蓄えの季節である冬の時期に腎を養生し、一年を乗り切る備えをするという考え方です。

プロ野球選手も冬の養生とトレーニングがシーズンの成否を決めると言われています。

我々も、この時期に養生をして、次なる一年をつつがなく過ごせるように準備したいものです。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設