胃腸が弱い、崩しやすい方には、効果的な漢方薬治療があります。
胃はとても敏感で、疲れ過ぎやイライラ、心配事など肉体的・精神的なストレスが続くと、すぐにその働きに変化があらわれます。また暴飲暴食をしたり体にとってあまり良くないものを食べたりすると、吐き気や胃痛、下痢などをおこします。
中には、体のどこにも病気がないのに、日常的に胃腸の不調を訴える人もいます。
・食べるとすぐにお腹の調子を崩してしまう
・過度の緊張や、プレッシャーのかかる仕事が続き胃腸の調子が悪い
・腹痛が起こり、よく下痢をする
・疲れが溜まると胃腸に症状が現れる
・嫌なことがあると食べられなくなる
実はこれらの症状には漢方薬治療が効果的なのです。
なぜ胃腸虚弱には漢方薬なのか?
胃腸の症状で悩まれている方は、本当に多くいらっしゃいます。
東洋医学ではそうした胃腸の働きを『脾』という臓器の健康度で測ります。
「脾」の働きは
①食べたものを消化して、
・身体に必要なものを吸収して、必要な場所に届ける
・不要なものを分別して、排出する流れにのせる
②身体を動かす動力 =「気」をつくる
③上に向かう流れをつくりだす
大きく分けて以上の三点だと考えられています。
元気を作り出す「脾」ですが、脾が働くのにも相応のエネルギーが要るため、胃腸虚弱が進んでしまうと、なかなか自分では元気を回復できなくなります。その脾の働きを良くすることが大切です。
また、虚弱体質の人を東洋医学では総合的な概念として、『虚証』と捉えています。虚証とは漢方でいう気・血・水が不足している状態をいいます。それに対してもともと身体の丈夫な方を漢方では『実証』と捉えています。この実証の人が胃腸虚弱で悩んでも西洋薬の胃薬を飲むことで大抵は治ってしまいます。
しかし、身体の弱い、胃腸の虚弱な「虚証」の人はそういうわけにいかない場合が多いのです。その点、漢方薬は虚証の人に効果のあるものから実証の人に効果のあるものまで、それぞれの体質を見極めながらそれぞれの症状に適した処方が可能なのです。
その方の証(体質)に適した漢方薬を処方します
胃腸が弱い方、崩しやすい方に効く漢方薬といっても、一つだけではありません。
例えば、ストレスなどで胃腸を崩してしまったからといって、有名な漢方薬の『六君子湯』を飲めばよいと考えているようですが、誰しもが飲んでも効くわけではありません。『四君子湯』でも同じ事が言え、専門医の診断のもと、適切な漢方薬を服用しなければ、効果はありません。
当院では同じ症状をお持ちの方であっても、同じ漢方薬を処方するとは限りません。その方の証(体質)にあった漢方薬を処方しています。また、漢方薬だけでは効果が弱いと思われる患者様には、漢方薬以外のお薬や治療を併用することもあります。その患者様にはどのような治療を行うのが最適なのかを常に考えながら治療方針を立てていくのが当院の特徴です。
四君子湯 | しくんしとう痩せている、顔色が悪い、食欲がない、疲れやすいなどの虚弱体質の人、所謂「虚証」の人に対して適用されます。水分の停滞を改善するとともに、胃腸を元気にする働きがあります。これにより、慢性胃炎や胃のもたれ、嘔吐などの症状を改善します。六君子湯と比較して、さらに虚証の人に好適です。 |
六君子湯 | りっくんしとう 基本的に虚証の方に適用があり、胃腸虚弱が原因の食欲不振、吐き気、腹部膨満感に効果的です。 四君子湯に陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)を加えた処方が六君子湯です。内臓を温めて働きを活発にし、身体の力をつけながら気と水を下ろす効果が期待できます。 |
啓脾湯 | けいひとう 基本的に虚証の方に適用があり、体力の低下している人で軟便・下痢(どろどろした泥状の便あるいは水の様な便)の症状に好適です。からだを温め、胃酸の分泌を抑えて胃腸の調子を整え、むくみを取り、下痢を止める効果が期待できます。また、嘔吐や腹痛などを伴う場合にも処方されます。 |
真武湯 | しんぶとう 基本的に虚証の方に適用があり、胃腸虚弱が原因で、特に身体の新陳代謝機能が低下し、全身倦怠感や全身脱力感、四肢の冷え感がある方に好適です。新陳代謝機能が低下しているため、身体動揺感、心悸亢進などを伴う場合にも効果が期待されます。 |
半夏白朮天麻湯 | はんげびゃくじゅつてんまとう 基本的に虚証の方に適用があり、胃腸虚弱が原因と考えられる目眩や頭痛を伴う方に好適です。 日頃から胃腸が弱く、食欲がなく、疲れやすいタイプの方の、目眩や頭痛の症状には、この漢方薬の効果が期待できます。 |
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当クリニックでは開業以来、上記のような症状をお持ちの患者様が多数ご来院され、多くの方より症状が軽くなった、気持ちが楽になったなどのお声を頂いております。
当院では、患者様のお話にゆっくりと耳を傾けることに重きをおいており、一人一人に最適な治療法をご提案する事を診療の基本としております。 気軽に相談できる、敷居の低い漢方薬外来を目指し、日々多くの患者様を診療しております。
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