前回(インフルエンザの話 2011-2012 ①)に続き、インフルエンザのお話です。

本シーズンは12月上旬に厚生労働省より、”インフルエンザの流行シーズン入り”が告げられました。

流行のピークは1月頃とされており、これは前年よりも1ヶ月程度遅いタイミングです。

インフルエンザは感染力が非常に強く、家庭や学校、職場など様々な範囲での感染を防ぐには、ワクチンの接種が一番重要です。また健康な成人などの積極的なワクチン接種により社会全体の予防接種率が高まると、特に乳幼児や高齢者の死亡数が顕著に低下すると言われています。自分自身の感染予防のためにも、感染的弱者の命を守るためにもワクチン接種は重要と考えます。

予防法として次に重要なことは①うがい、手洗い②マスクの着用です。

特に現代では、ファーストフード店などの外食が盛んになり、食事の前に手洗い・うがいをするという習慣が薄れてきており、ここを意識して、出来る範囲でこまめに手を洗うだけでも、インフルエンザはもちろん風邪予防にも繋がると考えます。

また、マスクもウィルス対応をうたった高価なものである必要はなく、通常のどこにでもあるもので十分です。
そもそもウィルスそのものはマスクの繊維の網の数十分の一の大きさですので防御は不可能です。マスクの意義は、咳やくしゃみで放出されるウィルスをふくんだ飛沫の防御と気道粘膜の乾燥を防ぐ点にあります。人ごみに出る時、満員電車に乗る時、のどがいがらっぽい時、乾燥がひどい日などは積極的にマスクを使用しても良いですね。

さて、それでもインフルエンザになってしまった場合はどうすれば良いでしょう?

インフルエンザウィルスは鼻や喉の粘膜から体内に侵入すると、ヒトの細胞内で増殖を繰り返して24時間で100万倍に増殖します。そして気管支など全身に広がって行きます。その時に体の免疫が戦い、ウィルスを排除しようとするため高熱などがでます。インフルエンザに感染したら早期に”タミフル”、”リレンザ”、”イナビル”のいずれかの薬を使用しウィルスの増殖を抑えることが重要です。これらの薬は発症48時間以内に投与しないと効果が少ないため、高熱などインフルエンザを疑う症状が出たらその日のうちに医療機関を受診し、医師の診察を受ける必要があります。

しかし、何はともあれ先ずはワクチンの接種です。インフルエンザワクチンは接種一週間後から一ヶ月程度をかけて免疫効果が現れますので、本格的な流行のピークを見据えて可能な限り早めの接種が必要です。

また、大流行による社会的損失を防ぐためにも、より多くの方々にインフルエンザについて詳しく学んでいただき接種率を高める事が、医師として重要な使命ではないかと考えております。
まだ接種を受けていない方は、是非ご検討下さい。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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