英国では、1970年代には成人のうち肥満者が占める割合は10%未満でした。
しかし、2017年の統計では、BMI30以上の肥満者が成人の29%、BMI25以上の肥満傾向が実に64%を占めると言われています。
英国に於いては、肥満傾向がない成人は圧倒的なマイノリティとなっているのです。
我が国に於いても、近年、肥満が増加傾向にあります。
詳細はまた別の機会に述べたいと思いますが、なぜ英国の例を出すのかと言えば、現在の我が国の肥満へのシフトが、何となく1990年頃の英国に似ている傾向があるのです。

では、肥満傾向はいつごろから、どんな形で推移していくのでしょうか。
医学的にはBMI30以上を肥満としています。
そのため、統計学的な俎上に乗るのはこのレベルの肥満です。
BMI30以上とは以下のレベルになります。
身長150㎝、体重67.5kg、155cm⇒72.1㎏、160㎝⇒76.8kg、165㎝⇒81.7kg、170cm⇒86.7kg、175cm⇒91.9㎏、180cm⇒97.2kg、185㎝⇒102.7kg、190cm⇒108.3kg。
我が国ではあまり見かけないレベルの肥満です。

1990年代、英国でまだ肥満率が10%強だった時代、先ずはBMI25以上の肥満傾向が増加していました。そしてその後、爆発的な肥満者の増大を招いたのです。
肥満者減少へのカギは、肥満増加の前、肥満傾向の爆発的増加を食い止める段階が最も重要である様です。
BMI25は以下の体重となります。
身長150㎝、体重56.3kg、155cm⇒60.1㎏、160㎝⇒64.0kg、165㎝⇒68.1kg、170cm⇒72.3kg、175cm⇒76.6㎏、180cm⇒81.0kg、185㎝⇒85.6kg、190cm⇒90.3kg。

現在、我が国の成人の肥満者の割合は、BMI30以上では、男性4.4%、女性3.1%と比較的低値ですが、肥満傾向=BMI25以上となると、男性32.2%、女性21.9%となります。
また、現段階では、肥満者の増加をはるかにしのぐ勢いで肥満傾向者が増加。まさに英国がたどった道のりを追っている要素があります。
ここで何とか踏ん張るのが、肥満国家への道を阻止する正念場ではないかと考えます。

個人的な話をすると、かくいう私も肥満傾向者です。
次回は、そんな自分をどうするか。
他人事ではない、私の肥満の話をしたいと思います。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設