くり返す下痢には漢方薬治療が効果的です。

冷たいものを食べるとすぐに下痢になる、冷たいものに限らず、食事をするとすぐにお腹の調子を崩してしまう方は多くいらっしゃいます。また食事にかかわらず、日常的に下痢気味の方は生まれ持った体質だからといって諦めてしまっていませんか??
下痢止めの薬などを服用すると、下痢の症状は一時的に改善しますが、今度は逆に便秘で困ってしまう方も多いです。下痢と便秘は正反対の症状だと認識されがちですが、どちらか一方の症状がある方はもう一方の症状を発症してしまう可能性が非常に高いといえます。
→しつこい便秘のための漢方外来のページはこちらをご覧ください。

また、日常の疲れや生活習慣などで胃腸が弱くなってしまう、崩しやすくなってしまうために下痢を繰り返す方もいます。
→胃腸虚弱のための漢方外来のページはこちらをご覧ください。

一方で、大腸や小腸に病気などの異常がないのに、下痢や便秘、腹痛が長期にわたり続いていたり、食事をする・しないにかかわらず、通勤・通学の途中や会議の前日などにいつも下痢をしてしまう方は過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。
過敏性腸症候群の原因は特定の病原菌や体内器官の異常ではなく、不規則な生活や精神的な緊張や不安、ストレス等によって自律神経のバランスが崩れて胃や腸に伝達され、その結果、腸が過敏に反応してしまい、本来の正常な働きをしなくなるためだといわれています。過敏性腸症候群は職場や学校で強いストレスを感じている方・生活が不規則な方やまじめで几帳面・内向的・完璧主義などの性格の方に多いといわれます。
→過敏性腸症候群(IBS)のページはこちらをご覧ください。

繰り返す下痢にお悩みの方はその原因が何かをしっかりと特定することが大切です。
常に冷えがあり、水様性の便が出る
胃が弱く、食欲不振であり、軟便であることが多い
夜明け前に腹痛がおき、冷えがある
排便後すっきりせず、腹部の張りが強い
便に熱感があったり、血便が出る

実はこれらの症状には漢方薬治療が効果的なのです。

なぜくり返す下痢には漢方薬なのか?

東洋医学では、下痢は主に冷えによる『水毒』と考えています。
体幹(腰や腹部)が冷えることで、過剰な水分が胃腸にたまり、腹痛、下痢、お腹が張る、お腹にガスがたまりやすいなどの様々な症状があらわれます。これらの症状は、身体を冷やすと悪化し、あたためると改善する傾向にあります。
また、最近ではストレス(漢方では『気』の停滞といいます)で下痢をする方が増えています。ストレスによって、腸管の動きが悪くなることで下痢になります。
漢方薬には、体幹や胃腸を温めることにより、余分な水分を体外に排出してくれる効果や、「気」の流れをよくしてストレスを和らげる効果があります。
さらに、症状が慢性化して日々下痢に悩まされる場合にも、漢方薬治療が効果的です。
漢方薬治療では、単に下痢を止めるばかりでなく、腸の状態を正常に戻す治療を行ないます。ですので、慢性化して治りにくい下痢でも、胃腸を丈夫にし、体質から改善することが期待できるので、高い治療効果が望めるのです。

その方の証(体質)に適した漢方薬を処方します

下痢に効く漢方薬といっても、一つだけではありません。
例えば、食事をするとすぐ下痢になるからといって、誰しもが『胃苓湯』を飲んでも効くわけではありません。専門医の診断のもと、適切な漢方薬を服用しなければ、効果はありません。

当院では同じ症状をお持ちの方であっても、同じ漢方薬を処方するとは限りません。その方の証(体質)にあった漢方薬を処方しています。また、漢方薬だけでは効果が弱いと思われる患者様には、漢方薬以外のお薬や治療を併用することもあります。その患者様にはどのような治療を行うのが最適なのかを常に考えながら治療方針を立てていくのが当院の特徴です。

胃苓湯人参養栄湯いれいとう
本来は中間証の人の漢方とされていますが、急性の下痢の時には、証(体質)に依らずに使う事が出来ます。下痢に好適なのはもちろんですが、吐き気や腹痛(鈍痛で軽度のもの)、脱水などにも幅広く効果が期待できるので、急性胃腸炎から飲みすぎの胃腸症状、脱水症状まで、下痢はもちろん急性の消化器症状にも試してみる価値があります。旅行の時などの常備薬にぴったりの漢方です。
五苓散人参養栄湯ごれいさん
実証と虚証の間を意味する中間証の方に適用されます。口渇と尿量減少を伴う水様性の下痢に対して好適です。また、身体内の水分のアンバランスを是正する働きがあるため、脱水症の治療にも第一選択で使われます。反対にむくみがある時には、むくみを解消する方向に働くため、浮腫の治療薬としてもよく使われます。副作用も少なく、大変使い勝手の良い漢方です。
半夏瀉心湯十全大補湯はんげしゃしんとう
実証と虚証の間を意味する中間証の方に適用されます。長引く軽度の下痢で、みぞおちに膨満感を感じ、食欲が低下してお腹がぐるぐる鳴り、時として排泄物がすえた様なにおいがするものに使います。
単独で使う事も有りますが、慢性疾患には、半夏瀉心湯+五苓散、半夏瀉心湯+四君子湯などの組み合わせで治療する事もしばしばあります。
啓脾湯清暑益気湯けいひとう 虚証タイプの方に適用される漢方薬で、やせて、顔色が悪く、食欲が無く、泡の多い(ガスの多い)水様便の人に使います。胃腸虚弱、慢性胃腸炎など、経過の長い下痢である事が多い方に好適です。東洋医学的には、「脾胃気虚」の下痢に使う漢方です。
人参湯人参養栄湯にんじんとう
虚証タイプの方に適用される漢方薬で、やせ気味で顔色が悪く、胃腸虚弱の人、虚弱体質の人、もしくは疾患により虚弱になった人の下痢に適用されます。食欲は少なく、疲労感があり、冷え症で、尿が薄く多量の傾向を呈する事が多い方に好適です。バリエーションとして、腹力によっては、兄弟薬である、四君子湯や六君子湯を使う事も有ります。また、冷えが強い時には、附子という生薬を人参湯に加えた「附子理中湯」として使う事も有ります。
桂枝加芍薬湯人参養栄湯けいしかしゃくやくとう
上記の人参湯の証(体質)の方で冷えが強く、なおかつ腹痛を伴う場合に適用されます。しばしば、下痢と便秘を繰り返し、便が出きった感じがしない「しぶり腹」の状態の方に好適です。混合型の過敏性腸症候群の時にもよく使われる漢方です。状況によっては、類似薬である小建中湯や桂枝加芍薬大黄湯による治療とする場合もあります。
真武湯人参養栄湯しんぶとう
虚証タイプの方に適用される漢方薬で、体力が極端に低下し、四肢や腹部の冷えが強い慢性的な下痢に使う漢方です。東洋医学的には水毒ないしは水飲という、身体の水のアンバランスを呈した方に好適です。舌診では、舌が全体的に腫大となり、歯のあとが目立ち、白滑(舌の表面が水っぽく粘液でテラテラ光る状態)を特徴とします。

まずはご相談にいらしてください

当クリニックでは開業以来、上記のような症状をお持ちの患者様が多数ご来院され、多くの方より症状が軽くなった、気持ちが楽になったなどのお声を頂いております。
当院では、患者様のお話にゆっくりと耳を傾けることに重きをおいており、一人一人に最適な治療法をご提案する事を診療の基本としております。 気軽に相談できる、敷居の低い漢方薬外来を目指し、日々多くの患者様を診療しております。
まずは一度ご来院頂き、つらい症状にやさしく効く漢方薬についてご相談ください。

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診療時間 午前10時-14時 / 午後16時-19時[水・土休診]
※金曜は21時まで診療

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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