冷え症に効果的な漢方薬治療があります

西洋医学では、「冷え」は「冷え性」と書き、病気ではなく「冷えに過敏な性質(たち)」とされています。
一方、東洋医学では、「冷え」は万病のもととなる『未病』と捉えられており、「冷え性」ではなく『冷え症』と書きます。
「冷え」は体質だからと思って放っておくと、さらに別の症状を引き起こすこともあります。本人がカラダの「冷え」を苦痛に感じれば、その人は「冷え」だといえます。
冷えの原因は自律神経の失調、貧血、ホルモン分泌の異常、新陳代謝機能の低下などの内的要因と湿気や薄着、夜更かし、睡眠不足、甘いものの過剰摂取などの外的要因の二つと考えられています。

また、冷え症は特に女性に多い悩みのひとつであり、成人女性の半数以上は冷え症で悩んでいるとも言われています。
女性の場合は、女性ホルモンの乱れから自律神経がバランスを崩しやすいことや、食生活や生理の影響で貧血気味の人が多いことから冷えが起きやすいと考えられています。冷えは万病のもとという言葉があるように、女性の方で足腰が冷えてしまうと、内部性器が充血して月経異常や子宮内膜症などの原因となり、卵巣機能不全や不妊症にもなる可能性があります。
そのほか冷え症があると、各種の神経症、腎炎、腹痛、腰痛などの原因になる可能性もあります。冷えは免疫力まで低下させるので、ありとあらゆる病気に関与するのです。

・手足がいつも冷たい
・下半身がひえやすい
・女性の方で顔色が青白く、貧血気味である
・膀胱炎をくり返す
・冷えると腰や関節が痛む

実はこれらの症状には漢方薬治療が効果的なのです。

*女性の更年期障害についてはこちらのページもご覧下さい。

なぜ冷え症に漢方薬なのか?

漢方医学では「寒熱」をとても重要視しています。
一括りに「冷え」といっても、どこがどのように冷えるのかということを詳細に分別して、漢方医学的な病態生理をもって把握し、それぞれの病態に適合する生薬、あるいは漢方薬処方によって対処することが重要です。

冷えには『気血』タイプ、『お血』タイプ、『気滞』タイプ、『腎虚』タイプの4種類があります。

・『気血』タイプ
→全身に冷えを感じるタイプの冷え症です。普段から疲れやすい、食欲がないという症状があり、血液・気力ともにエネルギー不足な状態です。

・『お血』タイプ
→手先・足先・末端部分が特に冷えるタイプの冷え症です。血の流れが滞って身体の血の循環が悪い状態です。

・『気滞』タイプ
→顔や頭をはじめとした上半身は熱い・のぼせるといった感覚ですが、下半身は寒さを感じるタイプの冷え症です。自律神経のバランスの乱れからくるもので、イライラやストレスを感じやすい状態です。

・『腎虚』タイプ
→特に腹部や腰回りに冷えを感じるタイプの冷え症です。消化機能の低下や身体を温める機能自体が弱まっている状態です。

以上のように同じ「冷え」でも一人ひとりの症状は千差万別です。
漢方薬ではその方の症状や証を適切に判断し、一人ひとりに合った処方をすることが可能なのです。

その方の証(体質)に適した漢方薬を処方します

冷えに効く漢方薬といっても、一つだけではありません。
例えば、身体が冷えるからといって、誰しもが『五積散』を飲んでも効くわけではありません。専門医の診断のもと、適切な漢方薬を服用しなければ、効果はありません。

当院では同じ症状をお持ちの方であっても、同じ漢方薬を処方するとは限りません。その方の証(体質)にあった漢方薬を処方しています。また、漢方薬だけでは効果が弱いと思われる患者様には、漢方薬以外のお薬や治療を併用することもあります。その患者様にはどのような治療を行うのが最適なのかを常に考えながら治療方針を立てていくのが当院の特徴です。

五積散
五積散
ごしゃくさん
冷え症の人の中で、比較的体力のある、陽証かつ中間証から実証の人に好適です。一見冷えなど無縁の体格の良い女性などに使うイメージです。上半身ののぼせと下半身の冷え。寒邪や湿気による冷えの二次的な症状である腰痛、膝痛、筋肉痛を有する場合、これらの症状にも良く効きます。
当帰芍薬散当帰芍薬散とうきしゃくやくさん
もともとは月経不順、月経困難、更年期などに使われる漢方です。比較的体力のない虚証の人で、身体内の水分のアンバランスである「水飲」という身体所見と血虚もしくは軽度のお血を持っている人に最適です。また、貧血の改善効果もあるため、血液検査で貧血所見がある場合にも良く使われます。
呉茱萸湯呉茱萸湯ごしゅゆとう
これも虚証の人向けの漢方ですが、もともとは習慣性の頭痛などに使う薬です。ミカン科の植物の果皮である呉茱萸と高麗人参などの温める作用を持つ生薬も有し、即効性があります。症状としては、冷えから来る頭痛に悩まされる人や、冷えが耐え難くもだえ苦しむような人に効果的です。
大建中湯大建中湯だいけんちゅうとう 冷えるとお腹が痛くなったり、お腹が動かなくなって膨満感を感じる人に、体質によらず適応になります。即効性も期待できるため、お腹が冷えた時だけ頓服で飲むのでも良いですし、定期的に内服すれば体質改善も期待出来ます。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう 冷えが長期に渡って続いたため、冷え症の体質が固定化してしまったタイプの人の治療に最適です。冷えによる、下腹部、腰部、四肢末端の痛みにも良く効きます。長く飲む事によって真価を発揮する体質改善タイプの漢方です。
桂枝茯苓丸桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがん 更年期障害などで、冷えとのぼせが両方あるタイプの冷えに最適の漢方です。比較的実証よりの人で、お血の所見がある人に良く効きます。
温経湯温経湯うんけいとう 更年期障害で、ほてりと腰から下の冷えを強く感じるタイプの人に良く効きます。桂枝茯苓丸よりは、やや虚証よりの人に効く傾向にあるようです。

*女性の更年期障害についてはこちらのページもご覧下さい。

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当クリニックでは開業以来、上記のような症状をお持ちの患者様が多数ご来院され、多くの方より症状が軽くなった、気持ちが楽になったなどのお声を頂いております。
当院では、患者様のお話にゆっくりと耳を傾けることに重きをおいており、一人一人に最適な治療法をご提案する事を診療の基本としております。 気軽に相談できる、敷居の低い漢方薬外来を目指し、日々多くの患者様を診療しております。
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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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