当クリニックではLOH症候群(ロー症候群)、または男性更年期障害の診断・治療に力を入れています。私がどのような流れで診察・治療を行っているのか、詳しく書けばきりがないのですが、すこしでも読んでいただいて解るように、より詳しくコラムでもご紹介したいと思います。
LOH症候群のHPでもご紹介している内容を、より詳しく解説した内容となっています。是非ご覧ください。

1. 初診時

受付で問診表、チェックリスト - AMSスコアを記入いただきます。
上記のスコアなどを参考にLOH症候群の診察および内科的疾患の合併の有無を診察します。
『うつ』などのメンタル面の問題を併せ持っている可能性があれば、さらに質問紙などを使い心療内科的診断も行います。
LOH症候群の診断に必須の項目の採血を行います。フリーテストステロン(男性ホルモン)、LHなどに加えて前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの測定を行います。PSAは『男性ホルモン補充療法』を行う上で、必ず調べなくてはならない指標の一つです。
これらの血液検査に加え、当クリニックでは肝機能や腎機能、状況によっては、貧血、血中脂質、尿酸、血糖、甲状腺機能などの様々な内科的な項目も測定します。より高い治療効果を目指すには、男性ホルモン補充療法だけでなく、これらの検査結果から得られる、内科的な診断結果に併せた治療が重要だと考えるからです。
検査結果が出るのは通常1~2週間後になります。
希望される患者さんには、漢方薬の治療から開始します。漢方薬は症状のみならず、体質によっても処方内容が異なります。東洋医学的診察に基づいて最適な漢方薬を処方します。

2. 再診時

① 血液検査所見の説明をします。それにより、症状がLOH症候群によるものだけなのか、他の疾患を合併しているのかを診断します。
② 上記の診断に基づいた治療を提案します。(詳しい内容は下記をご参照ください)。治療内容、治療期間、日常生活の注意点などを判りやすく説明いたします。

治療方法について

血液検査や診断の結果を基に、主に以下の治療法を組み合わせて、患者さん一人一人に最適な治療法を探していきます。

1.漢方薬
男性更年期障害【LOH症候群】の症状に直接効果のある漢方だけでなく、生活習慣病、メタボリックシンドロームなどの合併症の治療に必要な漢方薬を処方します。
漢方薬は男性ホルモンの値や合併症の有無に関わらずに治療を開始できます。うつ症状などの心療内科的症状にも広く対応出来て、身体への負担が少ない治療です。当クリニックではほぼ全ての患者さんに漢方薬を処方しています。
漢方薬は即効性のある種類のものもありますが、LOH症候群に対しては長く継続して服用することで効果を発揮するものが多く、できるだけ長い期間にわたって治療を継続していくことを基本方針とします。男性ホルモン補充療法やプラセンタ治療などと併行して行う事でより高い効果を期待でき、当クリニックでは主要な治療法として活躍しています。
2.プラセンタ注射
女性の更年期障害では有用性が認められている治療法ですが、男性更年期障害【LOH症候群】についても大変効果的な治療です。
理想はプラセンタを週に1回のペースで定期的に注射する事により、症状の改善が期待出来ます。慢性的な疲労などには特に効果的です。
定期的な通院が困難な方も多く、なかなか理想通りとはいきませんが、症状が強く出ている治療初期だけでもプラセンタ治療を行う事で、より短期間で症状を緩和する効果が期待できるのも特徴です。
プラセンタは体のバランスを正常な状態に保つ効果があり、長期間続けることでもより良い効果を期待できるのも特徴です。その場合は、注射よりも効果は落ちてしまいますが、サプリメントもお勧めしています。
3.ホルモン補充療法
血液検査の結果、フリーテストステロン値が低値であった場合に適応となります。
男性更年期障害【LOH症候群】の治療として主要な選択となるもので、フリーテストステロンの値が低い場合は、ほぼ全例の方に治療を検討していきます。
この治療は非常に高い治療効果が短期間で期待できますが、身体への負担がとても大きいため、必要最小限の投与に留めるべきであると私は考えています。中・長期にわたる投与の場合には、前立腺がんの検査など副作用の精査を行う必要があります。
また、男性ホルモン補充療法は、一時的に男性ホルモンを補給する治療法で有り、注射した男性ホルモンの血中濃度が徐々に下がっていくため、数週間で効果が弱まってきます。そのため、定期的に注射を行う必要があるのですが、前述したように体への負担が大きいため、当クリニックでは治療クールを設け、クール毎に治療効果を判定しながら、男性ホルモン補充療法の継続を判断していきます。できるだけ、ホルモン補充療法に頼らずに治療するために、上述の漢方薬やその他様々な治療法を組み合わせながら、治療を進めていきます。
4.サプリメント治療
男性ホルモンの値によらずに摂取可能で、かつ比較的安心して内服が可能です。当クリニックでは、男性ホルモンの元になる物質であるDHEAの濃度を改善する『ソフォン』をお勧めしています。
それ以外にも、生活習慣病やメタボリックシンドロームに効果的な『オメガ3 EPA/DHA』や、上述のサプリメントタイプの『プラセンタ』などもお勧めすることがあります。
5.抗うつ剤
治療を要するうつ症状があり、漢方薬による治療のみでは不十分である場合に併用します。必要最小限の治療薬を限定的な期間投与します。
6.その他
男性機能改善などに対して状況に応じてバイアグラ、シアリスなどを処方します。この場合、血圧測定などに加えて、心電図などの検査が必要になります。

治療方針のまとめ

あたりまえですが、全ての患者さんに、上記の全ての治療を行うわけではありません。診察の上で、その方に会った治療法を選び組み合わせていくのですが、その中でも主に中心となる治療の組み合わせを簡単にまとめると下記のようになります。

A フリーテストステロンが8.5未満と低値の場合
①漢方薬、男性ホルモン注射(短期間の限定的治療とします)
②(その後)下記Bの治療に移行を目指します。
B フリーテストステロンが8.5以上だが比較的低下傾向にある場合
①漢方薬、プラセンタ注射、ソフォン内服
C フリーテストステロンが十分な濃度である場合
①漢方薬、プラセンタ注射(慢性疲労などの症状が強い場合)
②漢方薬、抗うつ剤併用(うつ症状が強い場合)

これはあくまで一例で、診察の上で患者さんそれぞれにあった様々な治療をさらに組み合わせていきます。
男性更年期の症状はとても多岐に及んでおり、治療も一筋縄で行かない場合が殆どです。同じような症状でも、効果の有った漢方薬や治療法が、他の方にはあまり効果が出ない。。。などということは日常茶飯事です。
これはひとえに、患者さんの状態は一人一人違う!ということの現れだと思います。
ですので、私が治療を行う上で最も心掛けているのは、継続してしっかりと通院して頂き、適宜治療効果を判定しながら、その都度治療法を調整していく、その為にはしっかりと患者さんの話を伺い、状況を詳しく見つめていくことです。血液検査の結果だけを見て、画一的な治療を行うだけでは、本当に治療効果があるとは考えていません。しっかりと話を伺い、患者さんにもしっかりと理解をしていただき、そして継続的に治療を行っていくことが、私の根幹にある治療方針です。

男性更年期障害【LOH症候群】についてはこちらのページもご覧ください。

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診療時間 午前10時-14時 / 午後16時-19時[水・土休診]
※金曜は21時まで診療

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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