しつこい便秘には効果的な漢方薬治療があります

多くの方、特に多くの女性は便秘に悩まされています。便秘はただ便が出にくいだけでなく、腸内に滞留した便により有害な物質が発生したり、悪玉菌が増加して様々な症状を引き起こします。とくにダイエットの妨げになったり、お肌が荒れたりと、便秘が原因の症状で悩む女性が多いといえるでしょう。
・日常的にお腹が張る、張って痛む、ぽっこりお腹が出る
・みぞおちがつかえた感じがする
・常にお腹が重く、食欲が出ない
・ガスがたまり盛んににオナラがでる
・太りやすく痩せにくい
腹部の症状以外にも、便秘が原因でこのような症状が出ることがあります。
・頭痛やめまいがする
・落ち着いて眠れない
・イライラしてじっとしていられない
・目の充血、口内炎
・しつこいニキビ・吹出物などが出てきてしまう
言ってしまえば、便秘が原因で、またはその便秘が長引いてしまうことにより、様々な身体的・精神的症状を誘発させてしまい、より多くの症状に悩みを抱えてしまうことになりかねないのです。

便秘が何日も続くととても辛いですが、ようやく便が出たと思ったら今度は下痢で水状の便しか出なくなってしまうこともよくあります。また便秘改善を目的として下剤や市販の便秘薬を使っている方は、その効果が強すぎて逆に下痢を起こしてしまう可能性も考えられます。下剤や強い便秘薬の多くは腸を刺激し、無理やり腸を動かすことで便を出そうとする作用があります。そのため一時的には功を奏すことになりますが、無理に働かされた腸はとても弱ってしまうことになります。そして、便秘になる→下剤や便秘薬による強制的な排便→下痢→便秘・・・・という悪循環に陥ってしまいます。このように便秘と下痢は密接にかかわっているので、どちらかだけを気にするのではなく、どちらについても考えなければならないのです。
→繰り返す下痢のための漢方外来ページはこちら

また食事などの影響ではなく、ストレスに囲まれた生活をしていて、精神的に疲れ果てている方で便秘と下痢を繰り返してしまう方は過敏性腸症候群の可能性があります。そのような方は過敏性腸症候群のページも併せてご覧ください。
→過敏性腸症候群のページはこちら

実はこれらのしつこい便秘の症状には漢方薬治療が効果的なのです。

なぜ便秘には漢方薬が効果的なのか?

東洋医学では、健康が保たれるためには「気・血・水」(き・けつ・すい)という3つの要素が重要だと考えられています。望ましいのは、3要素がいずれも滞りなく循環している状態です。反対に、どれか1つでも欠乏したり停滞していると、疾病になるとされています。

『気』(き)
→目には見えない生命エネルギーのこと。 元気、気力、気合いの「気」などは、この「気」が由来しています。 「気・血・水」の3要素の中でもっとも重要な要素で、気の巡りが悪化すると心身のバランスを崩して調子が悪くなります。

『血』(けつ)
→全身を巡り、さまざまな組織に栄養を与えるもの。 主に「血液」を指します「血」が多いと闘争的になったり、少ないと肌にツヤがなくなったりします。

『水』(すい)
→潤いや栄養を与える、無色の液体のこと。体液や分泌液、尿など血液以外の体液全般を指し、水分代謝や免疫システムなどに関係しています。

この考え方に則ると、便秘は『気』の異常、『血』の異常、『水』の不足などが原因として起こることになります。3要素すべてと密接に関わっている症状ですので、それだけ排泄という行為が人間の健康のために重要だということが分かります。
また、便秘には、しばしば、吹き出物やシミなどの皮膚トラブル、いらいらや不眠といった精神症状、肛門周囲の鬱血による痔疾の悪化、その他、口臭や肩こりなど直接的な因果関係の分かっていないものも含めて、さまざまな症状を引き起こす可能性がございます。漢方薬治療では、便秘を解消するだけでなく、こうした諸々の随伴症状や身体的・精神的状態をあわせて改善することが期待できるのです。

その方の証(体質)に適した漢方薬を処方します

しつこい便秘に効く漢方薬といっても、一つだけではありません。例えば、慢性的な便秘に悩んでいるからといって、誰しもが『大柴胡湯』を飲んでも効くわけではありません。専門医の診断のもと、適切な漢方薬を服用しなければ、効果はありません。

当院では同じ症状をお持ちの方であっても、同じ漢方薬を処方するとは限りません。その方の証(体質)にあった漢方薬を処方しています。また、漢方薬だけでは効果が弱いと思われる患者様には、漢方薬以外のお薬や治療を併用することもあります。その患者様にはどのような治療を行うのが最適なのかを常に考えながら治療方針を立てていくのが当院の特徴です。

大柴胡湯人参養栄湯だいさいことう
実証タイプの方に使用される漢方薬です。肥満傾向にあり、しばしば嘔気などの症状があり、舌に厚い苔が見られる人の便秘に好適です。さらに腹診で胸脇苦満という所見を呈する人に適用します。
桃核承気湯人参養栄湯とうかくじょうきとう
実証タイプの方に使用される漢方薬です。体力充実した人で、のぼせ、頭痛、めまいなどの症状を持つ人の便秘に好適です。東洋医学的診察を行う場合は、腹診で(左に有意の)お血を認める人に適用します。お血を有する人は圧倒的に女性に多いので、結果的に女性に処方する事が多いのが特徴です。
防風通聖散人参養栄湯ぼうふうつうしょうさん
実証タイプの方に使用される漢方薬です。肥満傾向が顕著であり便秘傾向の人に適用されます。食べる量が多く、便通は毎日あるのに排泄が間に合わずに便秘気味という人に好適です。便秘の解消と同時に体重減少効果も期待できます。比較的近代の漢方であり、ある程度幅広い証(体質)の人に効果を発揮します。
潤腸湯人参養栄湯じゅんちょうとう
中間証から虚証タイプの方に適用される漢方薬です。高齢者や何らかの理由で衰弱した人で、皮膚や粘膜などの乾燥が著しい人に適用されます。便の性状としては、固いコロコロとした兎の糞の様な便を呈する方に好適です。
麻子仁丸人参養栄湯ましにんがん
中間証から虚証タイプの方に適用される漢方薬です。体力の低下した人で長年に渡って続いている習慣性の便秘の方に好適です。便の性状としては固い塊で、若い人にも使いますが、結果的に高齢の方に処方する場合が多いのが特徴です。頻尿傾向の方に多く適用されます。
桂枝加芍薬湯人参養栄湯けいしかしゃくやくとう
虚証タイプの方に適用される漢方薬です。痩せ気味でお腹が弱いタイプの人に適用されます。食欲の低下、消化不良、腹部膨満感、冷えなどを持っていて、便秘の際にしばしば辛い腹痛を呈する方に好適です。同様の体質の人で、下痢と便秘を繰り返す人にも効果的です。最近は、混合型の過敏性腸症候群に使われる事も多い処方です。
小建中湯十全大補湯しょうけんちゅうとう
虚証タイプの方に適用される漢方薬です。もともとは、虚弱体質の小児のだるさや胃腸虚弱に使われる漢方ですが、虚弱体質の方には年齢を問わず適用されます。便秘に対する直接的な効果よりは、体質改善に重きを置いた漢方薬です。
加味逍遥散清暑益気湯かみしょうようさん 女性で更年期障害がある方に適用される漢方薬です。本来は更年期や月経不順、月経困難に使う漢方ですが、漢方自体に便をやや緩めにする効果があるため、これを利用して便秘の治療を行う事があります。上手くいけば一石二鳥の効果が期待出来ます。
大黄甘草湯清暑益気湯だいおうかんぞうとう 大黄と調整役の甘草のみから構成される便秘に効く漢方です。他の漢方を飲んでいる場合の「ちょい足し」的に追加する場合などにも良く使う漢方薬です。ただし、極端に虚証の人にとっては、大黄はやや強めの生薬であるため、少量から使っていく必要があります。

まずはご相談にいらしてください

当クリニックでは開業以来、上記のような症状をお持ちの患者様が多数ご来院され、多くの方より症状が軽くなった、気持ちが楽になったなどのお声を頂いております。
当院では、患者様のお話にゆっくりと耳を傾けることに重きをおいており、一人一人に最適な治療法をご提案する事を診療の基本としております。 気軽に相談できる、敷居の低い漢方薬外来を目指し、日々多くの患者様を診療しております。
まずは一度ご来院頂き、つらい症状にやさしく効く漢方薬についてご相談ください。

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診療時間 午前10時-14時 / 午後16時-19時[水・土休診]
※金曜は21時まで診療

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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