花粉症の話をします。皆様は花粉症をお持ちでしょうか?
現在我が国では20%程度の人が花粉症であると言われていますが、その殆どがスギ花粉症です。
花粉症はアレルギー疾患のひとつで、植物の花粉が鼻、のど、気道、目などの粘膜や皮膚に接触する事により引き起こされる症状です。
狭義にはくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎を指し、広義には目のかゆみなどのアレルギー性結膜炎、喉のいがいがなどの咽頭炎、咳などのアレルギー性気管支炎、気管支喘息、アレルギー性皮膚炎をも含みます。またアトピー性皮膚炎の増悪もしばしばきたします。
花粉症の原因として我が国では、スギ、ヒノキ、ブタクサ、マツ、ヨモギ、イネ科の植物の花粉の頻度が高いのですが、最も重い症状をきたすのがスギによる花粉症です。
また、スギ花粉にアレルギー症状を持つ人の70%以上がヒノキ花粉にも症状を持っています。
スギ花粉は前年の晩秋から少量が散発的に飛んでいますが、激烈な症状を引き起こす大量飛散は概ね2月に入ってから始まります。
東京では大量飛散の開始時期は平均2月14日と言われます。バレンタインデーですね。
飛散の終息は4月中旬。ヒノキの花粉は5月の上旬まで飛散の可能性があります。
また、土の上などの湿った場所に落ちたスギ花粉はすぐに失活しますが、アスファルトの上や室内などの乾燥した環境では極めて生命力が強く数カ月に渡って花粉の症状を引き起こす可能性があります。
さらに乾燥下でのスギ花粉は分割されても活性を失わず、そのひとつひとつの断片が症状を引き起こします。
乾燥下ではまさに不死身のスギ花粉!バラバラになっても襲ってくるスギ花粉!重いスギ花粉症をお持ちの方にとっては下手なホラー映画より恐ろしいかもしれないですね。
自分の症状が花粉症かな?と思った時はどうすればよいでしょうか
医療機関で検査が出来ます。検査法はいくつかありますが、現在一般的に行われているのは血液検査です。
アレルギーの強さの指標として好酸球という種類の白血球数や比率、IgEという免疫グロブリンの数値を測定します。
これでどの程度のアレルギーが生じているかを大まかに把握し、その後に何がアレルギーを引き起こすかを調べるためにアレルゲンの検査をします。
アレルゲンは現在、吸入性や食餌性のものなど百種類以上が検査出来ますが4~12種類位を調べる事が一般的の様です。もちろん当クリニックでも検査が可能です。
アレルギーの検査は値の高さが必ずしも症状の重さに関連しない事やアレルゲン検査も陽性にでたものが総てアレルギーを起こすとは限らないなどの欠点はありますが、花粉症などのアレルギー疾患の治療方針を決定する上では大変有用な指標であるため一度検査をしておく事をお勧めします。
さて、検査の次は治療です。花粉症には実に様々な治療があります。
先ずは鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎の治療からお話します。
鼻炎の治療の第一は鼻をかむ事です。当たり前の話ですみません。でも意外と多いんです。花粉症があるのにティッシュなどを持ち歩いていない人が。
僕なんか花粉症の時期にポケットにティッシュが無いだけでとても憂鬱になります。
こまめに鼻をかむ事は鼻づまりを解消する最も有効な手段であり、後述する花粉症の治療薬の減量にもつながります。皮膚にやさしい柔らかなティッシュで丁寧に鼻をかみましょう。
きちっと鼻をかんでも解消しない症状に対しては、以下の治療を適切に組み合わせて行います。
① 漢方薬:小青竜湯、葛根湯加川?辛夷、苓甘姜味辛夏仁湯など
② 抗アレルギー薬:アレグラ、アレロック、クラリチン、ジルテック、ポララミン
(内服薬) オノン、IPD、リザベンなど
③ ステロイド:セレスタミン(内服薬)など
※ただし、体への負担が比較的大きいため原則として短期投与としている。
④ 点鼻薬
a.ステロイド:フルナーゼ点鼻、ナゾネックス点鼻など
b.血管収縮薬:トーク点鼻、プリビナ点鼻など
c.抗アレルギー薬:インタール点鼻、ザジテン点鼻、リボスチン点鼻など
⑤ 注射
a.ノイロトロピン注射・・・副作用の少ない注射で当クリニックの推奨している治療のひとつです。
b.プラセンタ注射・・・・・保険適応外となりますがとても効果的です。
目のかゆみ、涙、白目の充血などアレルギー性結膜炎がある人や気管支炎、皮膚炎がある場合は以下の治療を併用します。
⑥ 点眼薬:インタール点眼、ペミラストン点眼など
⑦ 吸入薬(ステロイド、気管支拡張薬):フルタイド、アドエアなど
⑧ 外用薬:ステロイド薬:リンデロン軟膏、ロコイドクリームなど
非ステロイド薬:アンダーム軟膏など
特に当クリニックでは①の漢方治療に力を入れております。
漢方治療を適切に行うことによって、①眠くならない、②体に優しい、③即効性のある治療が可能です。
「漢方は長く飲んでゆっくり治す」というイメージをお持ちの方にとっては、特に③の即効性は意外に感じるかもしれません。
しかし花粉症は漢方を適切に使えば実に早く症状を緩和する事が可能です。当クリニックでは患者様の症状、体質に応じて適切な漢方を処方し、状況に応じた内服方法をご指導します。
また、前述した漢方以外の治療と組み合わせる事による相乗効果も期待できます。
漢方治療のみで治療したい方はもちろん、従来行われていた治療に漢方を組み合わせたいなどの希望をお持ちの方も是非当クリニックでご相談ください。
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