だいぶ肌寒い気候となり、そろそろインフルエンザが気になる時期になってきました。
今シーズン(2010-2011年)のインフルエンザについての話です。(2010/11/1現在の状況です。)

今年の特徴は?

国立感染症研究所・感染症情報センターによると2010年10月22日現在インフルエンザ警報および注意報が発令されている都道府県はありません。すなわち世間的には流行は起こっていません。ただし散発的には、新型(Aパンデミック型)、A香港型インフルエンザの発生が既に確認されています。
またインフルエンザによる学級閉鎖も、9月7日の目黒区立中学校の学級閉鎖に始まり、藤沢市の小学校、相模原市立小学校などで行われております。
新型インフルエンザが流行した昨年を除けば、例年インフルエンザによる学級閉鎖の初発は10月下旬以降であり、この時期学級閉鎖が相次ぐのは異例の早さと言えます。
目黒区立中学校の感染者から確認されたウィルスは新型ではなくA香港型(季節型)であったという点も今年のインフルエンザの流行の特異性を示唆しています。
このように今シーズンは例年通りの特徴ではなく、特異な経過をたどっているため、万全を期して幼児~高校生までの年齢を中心に、全年齢で早期の予防対応が重要と考えています。

予防についてのおさらいです。

インフルエンザの予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどの励行が重要です。
しかし、最も有効な手段はワクチンの接種です。ワクチン接種により、本人の感染確率を大幅に引き下げるだけでなく、もしもインフルエンザに罹った場合にもより軽症で済みます。
また重要な事として、ワクチン接種は接種者自身をインフルエンザから守るだけでなく、家族や職場の方など周囲にもインフルエンザをうつさないで済むという間接的な予防効果もあることです。
例えば我が国で施行されているインフルエンザの予防接種は1歳未満の乳児には接種できません。そのため乳児に対する予防で最も効果的なのは、周囲の人、特にご両親がワクチンを接種する事です。
また高齢者の介護を行っている方や家族に基礎疾患を持つ方がいらっしゃる場合も同様に家族の方のワクチン接種が望ましいと考えます。
例えば両親・子供二人の四人家族(長男が受験生)の場合、家族四人全員がインフルエンザワクチンを接種した場合に長男がインフルエンザに罹る確率は、長男だけが接種した場合の半分になるという試算もあります。
受験生をお持ちの家庭に於いては、家族全員がワクチン接種することにより、受験生本人が試験当日にインフルエンザになって受験失敗になる確率を半分にできるのです。

出来るだけ早めの接種を!!

今年のインフルエンザワクチンは10月1日よりすでに接種可能となっています。ワクチンは接種一週間後から効果が現れ、一ヶ月ピークに達します。
例年の流行は12月以降に始まるため、11月上旬に接種をすることが強く望まれますが、今年は全国的にワクチン接種への関心が低いという話をちらほら耳にします。これは昨年の新型インフルエンザによる混乱が原因との見方があり、大流行の割に大事に至らなかった昨年の経験から、世間の関心を薄めているのではないかと、個人的に大変危惧しております。
今年のワクチンは新型と季節型の混合(新型/H1N1,A香港型/H3N2,B型の混合)ワクチンとなっており、昨年と違い一回のワクチン接種で新型も季節型も予防できます。

インフルエンザは流行しないことが当たり前、勿論自分も罹らないことが大前提であると私は考えています。そのためにはより多くの方が予防接種を受ける事が望ましいのですが、日本は予防接種に対しての関心が先進国の中でも著しく低く、インフルエンザも例外ではありません。
個人的な感想ですが、顕著なのは20代~50代、特に男性の低さではないかと考えています。子供のいる女性でも比較的摂取率が低く感じられます。人混みに晒されやすく、社会的感染リスクが高いと考えられる世代の摂取率が低いということです。

大流行による社会的損失を防ぐためにも、より多くの方々にインフルエンザについて詳しく学んでいただき摂取率を高める事が、医師として重要な使命ではないかと考えております。
まだ接種を受けていない方は、是非ご検討下さい。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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