今年(平成24年)も10月1日よりインフルエンザワクチンが接種可能となっています。今年のワクチンも例年のものと同様にA型2種類、B型1種類の混合ワクチンとなっています。予防接種の注射の量は、6ヶ月以上3歳未満が成人量の半量である0.25ml、3歳以上が0.5mlとなっています。
以前は年齢によって細かく分かれかつ少量でしたが、ワクチンの有効性という観点から現在の量に変更されています。
インフルエンザワクチンは獲得免疫の持続期間が数ヶ月という短期間有効のワクチンで毎年接種する必要があります。インフルエンザは毎年、抗原性が微妙に変化するため、同じワクチンでは対応しきれません。そのため短期間有効のタイプのワクチンを毎年流行シーズンの前に接種するという方式になっているのです。
インフルエンザワクチンを接種すると接種当日から徐々に防御効果が上昇し、2週間程度でピークに達します。その後3ヶ月以上高い防御効果が持続します。防御効果については諸説ありますが、この期間にワクチンがインフルエンザ感染を防御してくれる確率は、およそ70%強に達すると言われています。この数字は年によっても、インフルエンザの型によっても違いが有るため、場合によっては防御確率が低い事もあります。『今年のインフルエンザはワクチンが効かない』などと報道されるのはこのためです。
しかし最も不利な年の、不利な型のインフルエンザであったとしても、その防御確率は60%弱と言われており、決してワクチンが無駄という事ではありません。その後はワクチン接種後6ヶ月まで有効な防御効果を示すと言われています。
またワクチンを接種したにもかかわらずインフルエンザに罹ってしまった場合でも、ワクチンの効果によって重症化を防いでくれる効果があります。小児やお年寄りなどはインフルエンザで生命を落とす事もありますが、これを高率に防いでくれます。
またインフルエンザワクチンには、周囲の人達へ感染が及ぶのを防いでくれるという側面もあります。学童期の子供2人を含む4人家族を想定すると、子供の1人のみがワクチンを接種するのと家族全員が接種するのとでは、その子供がインフルエンザに罹患する確率はちょうど半分になると言われています。まさに“予防接種”ですね。職場、学校、地域社会など家庭外でもインフルエンザワクチンの集団予防効果は発揮されます。一人一人がインフルエンザワクチンを接種する事が、小児やお年寄りなど感染に対する弱者の生命を守る事に繋がるのです。
今年からインフルエンザワクチンの接種可能年齢が1歳以上から、欧米の例にならって6ヶ月以上に変更されました。これにより、より早い時期からのインフルエンザへの対応が可能となりました。これはこれでたいへん有効なのですが、乳幼児のインフルエンザ予防にはもっと重要な事があります。それは両親、特に母親がインフルエンザワクチンを接種する事です。2歳以下ではワクチンによるインフルエンザの抗体獲得は充分ではないため、周囲の人達がワクチンによる感染予防をする事の意義が前述の学童期の子供の場合にくらべても格段に高まります。また2歳以下の乳幼児は両親、特に母親と接触している時間が各段に長いため、両親、特に母親がワクチンでインフルエンザ感染を予防する事が、子供がワクチンを接種する事と同等もしくはそれ以上に重要です。
また万が一の話をすると、鳥インフルエンザなど全く新しい型のインフルエンザに対しては現在のインフルエンザワクチンは無効です。この場合は新しいワクチンを開発して、既存のインフルエンザワクチンに追加投与します。それまでは、感染の可能性がある者への抗インフルエンザ薬の内服で代用する事になります。
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