地震酔いの話

先日の東日本大震災とその後頻発する地震のせいか最近めまいがします。患者様の中にも『地震のような揺れが四六時中続いている気がする』と言う方が多数いらっしゃいます。

実はこれは『地震酔い』と言うものです。

耳鼻科医の中には『後揺れ症候群』と専門用語で呼ぶ人もいます。
これは基本的には乗り物酔いと同じ原理で生じる疾患で、地震の時の振動によって内耳の三半規管と前庭組織が不規則に刺激されることで起こります。
さらに余震などで刺激が継続的に加わると症状が慢性化して地震酔いとなります。『地震でもないのに常に揺れている気がする』、『めまい、吐き気が常にする』などの症状を呈する事となります。

地震酔いは、『いつ地震が来るか判らない』という精神的不安や、体の水分バランスの異常(東洋医学では水毒と呼びます)が有ると悪化します。不規則な食事や睡眠不足も症状の悪化に拍車をかけます。

では、地震酔いに対してはどうすれば良いのでしょうか?

先ずは地震酔いの症状に対して心配しない事です。二日酔いや船酔いが治る様に、地震揺れも状況が落ち着けば治って行きます。目をつぶって好きな音楽を聴いたりしてリラックスする、あるいはストレッチなどをするのも効果的です。

症状を軽減するために有効な漢方薬の処方も当、代官山パークサイドクリニックでは行っています。漢方薬は患者様の体質によって同じ症状であっても処方が異なってきますので一概には言えませんが、地震酔いには『苓桂朮甘湯』(リョウケイジュツカントウ)を多く処方します。
この処方は漢方の古典である『傷寒論』が出典の歴史ある処方ですが、気と水の異常に効果があり、比較的体力が低下している場合にも飲めます。
精神的ストレス、水毒の両面に効いてくれるためまさに地震酔いの治療にはうってつけの漢方といえるでしょう。
また、小児にも安心して飲んで頂く事が可能です。女性などで血虚を伴う場合は、さらに『四物湯』(シモツトウ)を合包し、『連珠飲』(レンジュイン)として処方するケースもあります。眩暈や吐き気のみで、ストレス症状が無い場合は『五苓散』(ゴレイサン)を使うケースもあります。非常に即効性のある漢方です。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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