女性の更年期障害(更年期症候群)とその症状

我が国での女性の閉経は平均50.5歳と言われています。閉経を挟んだ前後10年間を更年期と言いますが、その時期にエストロゲンという女性ホルモンが不足する事によって様々な症状を生じます。これを更年期障害(更年期症候群・以下、更年期障害と記す)と呼びます。
更年期は全ての女性に訪れますが、更年期障害はほとんど症状を感じない方から、非常に重篤な症状を呈し仕事や家事などの日常生活に大きな支障をきたす方まで様々です。また、更年期障害の症状もホットフラッシュと呼ばれる【ほてり】【発汗】【冷え】の3大症状に加え、【動悸】【息切れ】【不眠】【イライラ】【落ち込み】【頭痛】【めまい】【疲労感】【肩こりや腰痛の悪化】など多岐にわたります。『更年期障害かな?』と思ったら、更年期のチェックシート(SMIスコア)を行ってみると良いでしょう。更年期スコアのチェックシートはこちらからダウンロードする事ができます。
LinkIconhttps://www.parksideclinic.jp/_userdata/smi.pdf

さて、更年期障害が疑われたらどうしたら良いのでしょうか?

軽度の更年期障害であれば、サプリメントや市販の漢方薬などで対処する事も可能ですが、上記の更年期のチェックシート(SMIスコア)で50点以上の場合など、比較的症状が高めの場合は医師に相談する事をお勧めします。

では、どのような医療機関を受診すれば良いのでしょうか?

女性更年期障害といって先ず思い浮かぶのが婦人科です。しかし、更年期障害の症状は内科や心療内科/精神科の領域にまで及んでいる事もしばしば有ります。そのため、婦人科、内科、精神神経科などの標榜科にとらわれず、更年期障害の診断・治療を得意とする医療機関で診てもらう必要があります。
更年期障害を専門に診てくれる医療機関を探すのには『女性の健康とメノポーズ協会』のホームページでお近くの医療機関を検索するのも一つの手です。また、2013年11月8日号の週刊朝日にも『更年期の不調に強い「いい病院」407』という記事があり、その中にも医療機関のリストが掲載されています。

更年期障害を総合的に診る!

私が診療を行っている代官山パークサイドクリニックも更年期障害の診断・治療に力を入れています。当クリニックは内科です。内科で女性更年期障害を診る事のメリットは更年期障害と言う病気を全体的に把握する事が出来るという点にあります。更年期になると女性は更年期障害そのものの症状だけではなく、必ず2つの内科的変化が訪れます。一つは血圧が上昇傾向になる事、もう一つは血液中のコレステロールや中性脂肪が上昇傾向になる事です。大多数の女性にこの傾向が見られますが、ほとんど問題のない範囲の上昇しかない人もいれば、高血圧症や脂質異常症として治療を要する人まで影響は人それぞれです。

また、更年期障害にうつ病などの精神的な疾患を合併する事もしばしば有るため、それらを区別する事も必要になってきます。そういった点では、更年期障害かな?と思った時に最初に受診する科は、これら全てを総合的に判断できるという意味から内科が最も適していると私は考えます。もちろん内診などの婦人科でしか出来ない専門的な診断や治療を要する場合は、責任を持って婦人科に紹介いたします。心療内科・精神科についても同様です。

更年期障害と漢方薬

更年期障害の治療の一環として、漢方薬治療はとても優れた効果が期待できると私は考えています。例えば代表的な治療方法として挙げられる『ホルモン補充療法』は、高い効果が得られるものの身体に負担が大きいことが問題となる場合があります。市販薬やサプリメントサプリメントなどでは、気軽に服用できるものの症状に重さによっては効果が殆ど得られないこともあります。
ですが医療機関で行う漢方薬治療では、比較的高い効果が期待でき、且つ身体に負担が少ない治療を行う事が可能です。更年期障害の治療は、比較的長い治療期間を必要とする場合が多いため、身体に負担が少なく効果が期待できる漢方薬治療は非常に適した治療であると私は考えております。事実、私は診察している患者さんの殆ど全てに漢方薬治療を行っております。

医療機関で処方する漢方薬は保険が効くため安い、という事もメリットです。前述したように更年期障害は治療期間が長く、場合によっては年単位で根気よく治療する必要がありますので、保険適応の漢方薬とする事で治療コストも大幅に抑える事が可能です。
市販の漢方薬(OTC漢方薬)は、医療用の漢方薬に較べて含有する生薬の量が少なく設定されています。そのため同じ漢方薬でも、医療機関で処方された漢方薬の方が市販の漢方薬より良く効きます。よって、軽度の更年期障害の方で、漢方薬の内服をしたいと思っている方も医療機関を受診するメリットはあります。

漢方薬は西洋医学の薬と違い、同じ更年期障害という病気に対しても体質によって違う薬を使う場合があります。そのため、専門家に相談する事でより効果的な漢方薬を飲む事が可能です。チェックシートで症状のチェックを行い、更年期障害かな!?と思われた方は、これを機に漢方薬による治療を検討してみてはいかがでしょうか?

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設

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